神崎ブラザーズの秘密と
神崎律子(母)の秘密を知ってから
早や、一ヶ月。



私はあの日以来、
探偵見習いとして
放課後はお母さんの事務所の
お手伝いをしている。




「美優、お茶~!!」

「あ、美優ちゃん。
コレコピー頼むね!」

「あ、ついでにコレ
FAXしといてくれる?」

「そうそう!
コレ、レオン君に渡してくれる??」





だけど…
探偵見習いとはいいつつも
実質上は“家事手伝い”という
ボランティア業務。




お金も発生しなければ
重要な仕事も与えられない
まさに飼い殺しの状態!!




「美優~~~~!!
お茶~~~~っ!!」


「うるっさいなー!
ちょっと待ってよ、お母さん!!」





事務所の方々に与えられた書類の山を美優専用デスクにドカッと置くと、私は給湯室に行って急いでお母さんお気に入りの緑茶を急須に入れる。




お茶の葉が頃よく開いて、美味しそうな色になったとき、湯飲みに向かってザバッと豪快にお茶を入れる。




「はい!お茶!!」




怒りを込めてドンっという音を立てながら、湯飲みを置くと




「まったく…
あたしがお茶って言ったら、どんな仕事よりも何よりも、まずお茶を持ってくるのが礼儀ってもんだろ??」



湯飲みの中のお茶をフーフーしながら、呆れたようにお母さんがポツリと呟く。





ほんと…
カワイクナイ!!





「何よ、それ!!
何で私がお母さんの召使みたいな精神で働かなきゃいけないのよ!!」





私にだって
人権ってモンがあるんだからねー!!