昨日までの私なら

“ウザイ”

申し訳ないけれど
聖ちゃんのコトを
そう思っていたに違いない。




だけど…
真実を知った、今は違う。




ずっとずっと私を守ってくれて
いつも私を気にかけてくれて




女の子らしい生活を過ごさせてくれた
聖ちゃんには、感謝の気持ちしか
浮かばない。





「ありがとう、聖ちゃん…」




聖ちゃんには聞こえないように
ポツリと小さく呟いて
ギュウッと腕の力を強くすると





「何か言ったかー!?ミュー!!」




いつもどおりの大声で
聖ちゃんが私に叫ぶ。





「ううん!!何にもーっ!!」




本心を押し隠して
私もいつもどおりに
負けずに叫ぶと




「困ったことがあれば何でも言えよ!!
兄ちゃんが助けてやっからな!!」




ニャハハと笑って
聖ちゃんが私の手をトントンと叩く。