「確実に覚えていられるのは家族構成と家族の名前…くらいですかね。後は美優の運次第です。」
「え、えぇっ!!?」
冷静に
淡々とした口調で
こんな恐ろしい言葉を口にする
総ちゃん。
お母さんが聖ちゃんに言ってた
“消せ”っていう言葉の理由は…
“存在を消せ”
ってことではなく
“記憶を消せ”
ってコトだったんだ……。
な、なんだ……
――よかった……
こんな時だというのに、聖ちゃん達は人殺しじゃないんだと、変に安心してしまう能天気な私の頭の中。
この常人にはありえない
異常な思考回路もMaria…
つまりはお母さん譲りなのかもしれないと、ふと思う。
食卓が何ともいえない
暗い空気に包まれて
誰も何も言葉を発さなくなった時。
「さて、ルールはわかったね?
美優、選びな。
ただの女か、戦う女か。
2つにひとつだ。」
そう言って
お母さんはクスリと名刺を
私に向けて
グイッと差し出した。


