神崎探偵事務所へようこそ!!



き、記憶障害!!?



お母さんから飛び出した
恐ろしい言葉にのけぞる、私。




な、なんでそんな怪しいクスリが
我が家にあるのよー!!!!




ゾゾっとしながら
その物体を見つめていると





「コレはね。
いつも聖哉達に持たせている錠剤さ。」


「は…??」


「想定外の相手に見つかった時にはその相手に。任務を失敗し拘束された時には自分が飲めと教えている。」





は、はぁぁぁぁ~っ!!!??
意味わかんない!!!
正気!?
正気でこんなコト言ってんの!!?





まるで安っぽいスパイ映画を見ているような気分になってきた、私。
恐る恐る、ミキちゃんの方をチラリと盗み見ると





「民間人に私達の正体を知られると私達の身に予想だにしない危険がおきるかもしれないでしょ?それに…万が一敵に捕まって自白させられそうになっても、記憶がなければ吐くものも吐けなくなるから。」





そう言って…
ミキちゃんは淡々と私の疑問に答えてくれる。





「ほ、ほんとなの??」




とても簡単には信じられないクスリの効能と行動にドン引きしていると



「美優。残念ながら事実です。
そのクスリの効能も、僕達が律子さんに教え込まれた行動も、全てウソ偽りのない、真実です。」



総ちゃんは、涼しげな目元を私に向けたまま平然と言葉をつむぐ。







「おそらくその量を飲めば、美優が今まで生きてきた記憶のほとんどを失います。」


「え、えぇっ!!?」