彼が眼鏡を外さない理由




馬鹿げた話ではあるが、時々わたしは本気で男からもたらされるこの熱に限界点なんてものはないんじゃないかと思ってしまう。

男という甘やかな熱に触れて、わたしはそこからホットケーキの上のバターのように溶け落ちてしまいそうだ。


触れられた場所から、ファサーっと毛穴が逆立っていくような奇妙な感覚がした。勘違いなんかじゃない。恥ずかしい。


ぐるりぐるりと絶賛稼動中の洗濯機よろしく揺さぶられる羞恥心。

そこに時折泡のように姿を表すは愉悦の心。


これが漫画かアニメなら、面白いくらい毛が逆立ってることだろう。心なしか、肩までぴぃんと引きつってきたような気がしてきた。


もう、どんだけ緊張してるの。わたし。



「ん? どうした。顔、真っ赤だなあ?」



案の定、男にもバレバレである。


頼むからその"お主も悪よのう"というシーンが激しく似合うニマニマ笑いは引っこめてほしい。

胡散臭さだけでなくて妙な色気までだだ漏れだ。

…勘弁してくれ。