女をベッドに寝かさないで自分がベッドに寝てるってどうなんだって思わなくもなかったけど、それはこの男なりの優しさなのだ─…と今は思っている。
ある意味特別扱い。
そう思えば捻(ひね)くれたわたしの屈折した道理に適(かな)っている。
一見冷たいと思う態度は、男がわたしを身体だけの女だとみなしていないという裏付けだ。
男はわたしの内面をしっかり見てくれている。
"食指は動かない"はずなのに、ご飯をつくるという役割を、居場所を与えてくれている。
…でもそれはわたしが自分の大切にしている後輩の妹であるからなのかもしれない。
そうはいっても、男がわたしの内面を見てくれているという事実は、それは恋愛対象としての愛情ではなく、愛玩するという意味での友愛もしくは親愛に他ならない。
悲しいいかな、人間とは欲深い生き物で。
恐ろしく適応能力が高いがために現状にはすぐに慣れてしまい。
さらなるものが、新たなものが欲しくなってしまうのだ。
生きて行くかぎり欲はつきない。
それは食欲・睡眠欲・性欲という三大欲求に始まり、‐欲とつく言葉は数多(あまた)ある。
その数あるなかで今のわたしを苦しめているのは"支配欲"だ。

