彼が眼鏡を外さない理由




唯一の武器である制服姿だって(というともしこれが効果覿面(てきめん)だった暁には男の性癖を疑うことになってしまうのだが)、"そんなにパンツ見せたいのか? お嬢さんは痴女かなんかか"と一蹴される始末。


別にそこまでスカートを短くしているつもりはなかったのに、男からは"あと5センチは長くしろ。それじゃ短すぎる"とお小言まで頂戴してしまった。

(お兄ちゃんですらなにも言わなかったのに。)



あれやこれやと理由(雨降ってるからとか明日早く学校に行かなくちゃだからとか)をつけて何度も泊まったことはあったけど、一緒に寝ることはおろか、ふかふかと寝心地が良さそうなクイーンサイズのベッドには未だに寝たことがない。

正確にはベッドに近づくことすら許されていない。


前に一度だけ我が儘を言って"ベッドに寝かせてよ"と言ってみたら"生意気なこというんじゃない"と突然怒り出した男に半ば追い出すように家に帰されたことがある。


わたしには男の寝室兼作業スペースとなっているこの部屋の隣にある空き部屋に布団をしいて寝るか、20畳以上は優にある閑散としたリビングにあるソファに、男の掛けてくれた毛布にくるまれて夜を明かすかのどちらかしか許されていないのだ。