男が雛鳥の刷り込みのことを揶揄していたのかはわからないけれど、ついでにわたしの頭も珍しくむずかしいことを考えたせいでわけのわからないことになっているけれど。
もし仮にわたしの男への気持ちが男の言うように雛鳥の刷り込みと同義のものであるとしても、わたしは絶対に後悔をしない自信がある。
要するにそういうことが言いたかった。
わたしよりも長生きしているだけあって、口では男に上手く丸め込まれてしまうけれど。
根拠はないけれど。
ただ、漠然と。
ほんとうにそう思う。
心から、強くそう思う。
心の片隅に、追いやられたいつかの宝物のように降り積もるなにかがあるのだ。
あたたかい、なにかが。
あの男を思うとそれはくるしいくらい熱くなる。

