彼が眼鏡を外さない理由




言いよどむ。


喉元で詰まった言葉をごくっと飲みこめば、身体の奥深くから情が煽られていくのを感じた。

身体が、熱くなる。

不可抗力だ。



…たとえば叶わない、と思うのはこんな時。



なにかを言おうと口を開いては、なにかが喉につかえたように口を閉じる。

否、つかえたからこそ口を開くのかもしれない。


喘ぐように。


暫しぱくぱくと口の開閉をするわたしに、「ん? ほら、言ってみろ」唇をなぞる指が再度催促をする。

言いたいことがあるなら早く言えと、急(せ)かす。


その指使いが、くすぐったい。