なんて考えながら紅茶を両手に部屋を戻ると、舜くんは何やら問題集を並べていた。




「どうしたの?それ……」




“峰龍大学”の過去問題、赤本……。




問題集を5冊くらい並べて見比べている舜くんをジッと見つめる私。




私、まだ、進路について舜くんには何も言ってないのに…。




過去問題や赤本を、舜くんが必要とするはずない。




…私の為に買ってきてくれたんだって、すぐにわかった。




そのまま何秒か沈黙が続き、舜くんは私に、並べてあった真ん中の問題集を手に取って渡してきた。




「最初のノルマはこれだな」




ちょ、ちょっと待って!




「どうして私が、峰龍大学に行きたいって思ってることわかったの?」




ひと言も言ってないのに!




というか、さっき決めたばっかりなのに…。




不思議に思っていると、舜くんは淹れたての紅茶を飲みながら優雅に言う。




「なんとなく?峰龍の心理学部とか狙ってそう、って思って。」




あ、あたってる…。




なんでもわかるんだね、舜くんは…。




ほけーっと感心していると、舜くんに「20ページ」と言われてすかさず開いた。




………難かしっ!




何コレ…こんなのが出るの!?




何が書いてあるかわからない英文に目を見開くと、舜くんにはいつしかの黒い笑みが戻っていた。




「とりあえずこの問題集30回。残り4冊は50回同じの解くぞ。今回はひとつ間違えたら2回キス」




頑張るなんて、前言撤回したい!




……この大魔王、誰かなんとかしてくださいっ!!