「…………あっ」
花火なんかより、ふわっふわのわたあめ片手に戻ってきた家庭教師さんに目が釘付けになる。
舜くん、戻ってきてくれた…!
あのわたあめ…売ってくれないかな?
たこ焼きを無心に頬張る悠ちゃんの隣で、わたあめに目を輝かせている私を見つけて、
「あげる」
舜くんはフッと微笑むと隣に座ってくれた。
あ、あげるって…!
差し出されたわたあめを、ありがたく受け取る私。
わー、わー!やったぁ!
ふわふわしてるっ!
甘くて美味しい。
ちょこっとずつつまんで楽しく食べ進める私に、舜くんが頬杖をつきながら聞いてきた。
「そんなもん食べて楽しい?」
そんなもんって…。
私は、もらったわたあめを見詰める。
「楽しいよ!舜くんが持ってきてくれたから、二倍美味しいのっ」
私にとっては甘くて美味しい貴重なお菓子なんだから。
わたあめなんて、こういうお祭りの日じゃないと食べれないもん。
ふふっと笑って率直な感想を述べると、舜くんはいつもみたいにニヤッと笑う。
「……俺が作ったって言ったら?」
しゅ、舜くんが作った…!?


