「お~、上がってんな。ひなもこっちおいで」
大きくてキレイな花火が上がったとき、悠ちゃんに手招きをされて本部席に座らせられた。
ちょうど人が少ない位置で、私でもよく見える。
本当にキレイ…!
美織ちゃんたちも、見てるかな。
舜くんも…。
と思ってブンブンッと大きく首を振った。
舜くんのことはいいの!
どこかでわたあめ売ってるんだもん!
見てるわけないよ…。
ギュッと浴衣の袖を握りしめたとき、悠ちゃんがたこ焼きを食べながら聞いてきた。
「どう?篠崎との勉強は」
舜くんとの…勉強、か…。
間違えるたびにキスされてます、なんて報告したら、舜くんは即刻クビだろな。
「解りやすくて助かってるよ。舜くん、頭いいから説明も上手だし…」
ありがたいよ、と付け足すと、悠ちゃんは一瞬固まってからハハッと笑う。
…やっぱ、大学生の笑いのツボが、全然全く理解できない。
「そっか、『舜くん』ね~。解りやすくてよかったな!」
「わっ…悠ちゃん、お花ズレちゃうよっ!」
悠ちゃんが満面の笑みでワシャワシャと頭を撫でてくれたせいで、美織ちゃんに付けてもらったお花がズレた。
でも、よかった。舜くんとのコト、あんまり深く聞かれなくてホッとしたよ。


