【完】キスしてッ! -年上甘々☆溺愛カテキョ-








……行っちゃった。




もう少し…もうちょっとだけ、一緒にいたかったなぁ。




私は舜くんが見えなくなっても、ずっとその場に立ち尽くす。




…結局、やられっぱなしだった。




助けてもらったときは、不機嫌MAXだったし…。




機嫌が直ったと思えば、不意打ちでキスされちゃうし…。




舜くんのいいようにされ、なんだかんだで振り回されただけ…。




「ひなも食うか?たこ焼き。ちなみにな、篠崎はわたあめ売ってんだと」




ずっと一点を見つめている私に、悠ちゃんがまだ湯気が上がっているたこ焼きを差し出してくれた。




「あ、ありがとう…」




たこ焼きもそうだけど、舜くんの情報をくれて。




…そっかぁ、わたあめかぁ。




舜くんには似合わないかも…。




つまようじに刺さった、キレイに焼けているたこ焼きパクっと口に放り込む。




舜くんのところで売ってるわたあめ、無性に食べたくなってきた…。




なんて、たこ焼きを味わいながらも、思考は舜くんへと傾いてしまう。




…舜くんが店番してるくらいだから、きっと、可愛いお客さんがいっぱいくるはず。




一目ぼれしました、なんて告白されてたら…。




って私、別に彼女でもなんでもないのに…。




ただの家庭教師と生徒という関係なのに、なんだかモヤモヤする。




「か、考えるな……」




そう呟いて心の中でため息を吐いた私に聞こえてきたのは、いつの間にか上がっていた花火の音。




ヒュゥゥゥゥ~………ドドン!!