というか、ドキドキしちゃだめっ!
相手は舜くんだよ…。
家庭教師って割り切って付き合わなきゃ。
一瞬でもこの人にドキッと胸を高鳴らせた自分に、厳しく喝を入れた。
「お~、ひな!…と、篠崎!アイツが探し回ってたぞ!」
…とき、悠ちゃんがたこ焼きを持って歩いてくるのが見えた。
悠ちゃんはねじったハチマキを頭に巻いていて、いかにも本部って格好をしてる。
…はっぴも、すっごく似合ってる。
なんでも似合うんだなぁ、悠ちゃんって。
ほけーっと悠ちゃんに見とれていると、舜くんにふわっと髪を触られた。
「あ~、じゃ、オレ行くから。ひな、迷子になるんじゃねぇよ」
ま、迷子になんてならないもん…。
「俺がいるから大丈夫だもんな?」
舜くんと悠ちゃんにそう言われ、私は交互に二人を見比べた後、頷いた。
ココにいればいいんだもんね。
屋台とかにつられなければ、大丈夫。
「舜くん、頑張って」
ぎこちなく手を振ると、舜くんにフッと笑われる。
…だから、笑いのツボがズレてるよ?
「じゃ、あとでな」
舜くんは悠ちゃんにそう言われ、渋々といった様子で人ごみの中へ消えて行った。


