「この前、俺に落書きしようとしたバツ。これで許してやるよ」
……ばれてた!
あの時、わざとスルーしたんだ…。
こういう時に使えるように…。
周りの人が、私たちを見てニコニコと満面の笑みを浮かべている。
は、恥ずかしすぎるよっ…。
絶対さっきのキスのことで笑われてるんだ…!
こんな羞恥、絶対舜くんのせい。
反論したいのは山々だけど、落書きの事を出され何も言えなくなった私に、舜くんはクスッと笑う。
「い、イジワル…」
「何とでも言え。」
それだけ言って腕を組んだ舜くんは、静かに目を瞑ってそこにあったポールによっかかった。
……やっぱり、さすがは家庭教師…。
ここであの落書き事件を出してくるなんて…。
悠ちゃんの大学の秀才だけあって、私とは頭の回転速度がだいぶ違うみたい。
と、つい感心してしまう。
…でも、キスをしたことは別問題。
「このっ…変態家庭教師…!」
涙目で舜くんを見上げると、舜くんはいつの間にか瞑っていた目を開けていて、私の事を見据えていた。
「ひなには別の勉強が必要か?」
ニヤッと怪しく笑った舜くんにドキッとしてしまい、私はふいっと別の方を向く。
…結構です!今の勉強で十分間に合ってます!


