両親が海外で仕事をしている私を、大切にしてくれてるのはわかるんだけど…。




「イジめられたのか!? どうしたんだ? 俺に言ってみろ?」




ちょっと過保護。




私は慌てて美織ちゃんから離れ、手のひらを悠ちゃんに見せるように振った。




「た、たいしたことじゃないよ!」




…テストで赤点とりました、なんて言いたくない…。




恥ずかしいことこの上ないよ。




「嘘だ!遠慮すんな!」




う、嘘じゃないってばぁ!




必死になって心配している悠ちゃんと、なんとか取り繕う私を見かねてか、美織ちゃんがため息をつく。




「悠河、ひなはね、テストの結果に泣いてるの」




…一瞬にして報告されちゃった…。




プリントの山から美織ちゃんが悠ちゃんに差し出したのは、名前の横に「2」と赤い字で書かれた紙切れ。




それだけは……!




それを見た悠ちゃんは、目を丸くした。




「だ、ダメッ!」




は、はずかしすぎる…!




2点なんて、もう2度と取らないから見ないでほしいっ!




バッと悠ちゃんからテスト用紙を取ると、ハハッと笑われる。




…なんで?




どこがおかしいの…!?




そんなに笑うことないじゃん!



私は悠ちゃんに、驚きとちょっとだけ怒りが混じった視線を向けた。