「安心しろ。言葉遣いは汚くないはずだから」
心に心配の渦が巻いたとき、舜くんにまぶしい笑顔でそう言われた。
…よかった、優しそうで。
第一印象が冷たい人だったから、また笑顔を見せてくれてホッとしたよ。
というか、私が考えてることを当てるなんて…。
舜くんってスゴイ。
あはは、と苦笑いをしていたらいきなり舜くんから質問が飛んできた。
「なぁ、どうやったらこんな点数が取れるんだ?」
ゴミ箱に封印したはずの例の紙切れが、なぜか舜くんの手元に。
しかも、舜くんは珍しいものを見るような視線でその紙を見ていた。
重ーいヘビーな質問を投げ飛ばしてきた家庭教師に、思わず顔がひきつる。
そんな質問、軽々飛ばしてこないで頂きたい。
そこに触れるなら、もう少し気を遣って欲しいなぁ…。
少しうつむくと、少しばかり黒い笑みを浮かべていると思われる舜くんは、だんだん近づいてくるのがわかった。
ど、どうやったらって…。
それはもちろん、決まってる。
「どうもしなかったら、そんな点数になったんです」
きっぱりと言い切った私。
…ちょっとかっこよかったかな?
あ、ついでにもう一言、テストがあるって知らなかったんです。
アハハと乾いた笑いで、どうにかしようと無い頭で考えた私に、舜くんはため息を吐いた。
その瞬間、ぐりっと頭を捻られる。
「なんでテストなのに“どうもしない”んだよ。お前の頭、根本から治してやろうか?」
そして、バカにしたような口調でそう言われた。
こ、根本はなんとか大丈夫だもん!
葉っぱらへんが腐ってきただけで…!
って、結局腐ってるし……。


