卒業試験合格から一週間。




「う………うぇぇえん…!!!」




時は過ぎ、あっという間に卒業式。




「ひな、泣きすぎだし」




卒業証書を片手に、私はクラスの子たちとの別れを惜しんでいた。




ほとんどの子がそのまま大学へ行くから、周りは泣いてる子もいないし、むしろみんな晴れ晴れしてるんだけど…。




「ひなちゃんっ、またおしゃべりしようね?」




「たまには会おうねっ」




私は一人、大号泣。




クールな美織ちゃんとは違い、やっぱり別れたくないのを隠せなくて…。




「う゛んんっ……」




涙で顔が崩れるほど泣きじゃくる。



みんなと離れたくないよぉ…!




まだまだ、楽しくおしゃべりしていたい…。




もうなかなか会えなくなるなんてイヤ…!




せっかく峰龍に受かったのに、そんな気持ちがこみ上げてきた。




卒業なんて、まだまだ先の話だと思い込んでた私。




大学に受かったことと、女子校ライフをまったく別物として考えてたし…。




ずっと、みんなでアイス食べながら下校したいよっ!




「は、春沢さん…ちょっと…」




そんな私に、聞きなれた声が届く。




「…穂見くん!」




そこには、ブレザーのボタンはおろか、ワイシャツの腕の部分のボタンまでなくなっている穂見くんが。




やっぱり、モテる男子は最後まで大変だ。




制服も少しちぎられてるし…。




…私の高校と穂見くんの高校で毎年合同卒業式をしているから、ここまでされるのも仕方ない。