な、何してんだ俺………。




腕を放して少し起き上れば、ひなの泣き顔とたくさんの赤い痕が目に入る。




俺は本能に勝てなかったってことか…。




ひなといると…。




ひなの事になると、俺は欲まみれのただの男になっちまう。




…それで結果、こうしてひなを傷つけて泣かせる。




「ゴメン……ひな………」




怖い思いさせて…。




俺は謝りながらひなに手を伸ばした。




「…………っ…!」




けど、ひなの体が一瞬、ビクッとこわばる。




そんなひなを見て、俺は伸ばしかけた手を引っ込めた。




…やっぱ、いきなりあんなことされて怖がらない方がおかしいよな。




いくら一緒にいたって、今日付き合いたてのような俺ら。




それなのに、手ぇ出した俺。




……ありえねえ。




未遂で終わったからいいものの、あそこでひなが俺を呼ばなかったら、絶対に壊してた。




「…本当にごめん。」




俺はそれだけ言って、ひなから離れる。




あー…想いが通じ合うのって、怖いな。




つい、油断しちまう。




…それに女って恋愛沙汰……告白とかキスとか、そういうの一回一回を大事にする生き物みたいで。




しかもひななんか、初めてだろうし…。




絶対に傷つけた。