私は篠崎さんが手に持っていた紙切れを、本能で奪い取った。
み、見られたぁっ…。
最悪だ…。
私は取り返したソレを、ぐちゃぐちゃ…と丸めてゴミ箱へ投げる。
「本当にバカなんだな」
……しょうがないの!
あれはたまたま…。
ククッと笑っている篠崎さんから奪って捨てたのは、もちろんあの忌まわしいテスト。
国語23点、英語8点、数学2点…。
これ以上はもう言いたくない…。
嫌な思い出を掘り返され泣きそうになった私の頬を、篠崎さんのキレイな指がはさんだ。
そして、痛いくらいに両頬を潰されて唇が突き出る。
「そんな顔すんな。俺に教わるんだ、絶対に目標点以上とれるぜ?」
そんな顔…させてるの、あなたなんですけど…。
それに、ど、どこから湧いてくるの?その自信…。
と、言いそうになってヤメた。
だって、篠崎さんの目、本気なんだもん…。


