一瞬安堵の表情を浮かべた舜くんだけど、すぐに顔をしかめた。




「…っ、彼女…?」




あ!!!




そうだよ、彼女といえば!




私は舜くんの一言で、大事なことを思い出す。




「舜くん、今日イブだよ!連絡した方が……」




少し大きな声を出したものの、最後の方は、ほぼ消えてしまった。




…だって私が口出すことじゃないよね…。




そこはプライベートだもん。




俯いてそんな事を思ったあと、自然にため息が出る。




…私なんかに言われなくても、わかってるはず。




恋人にとって、今日が大切な日だってことを。




壁に寄っ掛かっている舜くんの顔色を伺い、やっぱり言い直した。




「………コーヒー淹れてくるね」




コーヒーを口実にリビングに逃げたのは…。




もし舜くんが、その場で彼女さんと電話してるのを見たら、きっと色々耐えられないと思うから。




『おはようございます。モーニングワンデーの司会を担当する………』




廊下とは違って暖かいリビング。




テレビをつければ、いつも見ているニュースの司会者が元気にあいさつしてる。




コーヒーメーカーを起動させ、パンをトースターに入れ…。




いつもと変わらない、普通の朝なのに…。




「ひな、後で話あんだけど…」




「うん、ご飯食べながらにしようよ。とりあえず先にシャワー浴びてきたら?」




舜くんがいるってだけで、なんか特別な朝に感じた。