「………………」
朝だ…。
リビングの方から注がれている光を見て、寝ぼけ眼でそう確信する。
私は体を起こして、その場に座り込んだ。
なんで私、廊下でなんか寝てるんだろう…?
勉強のしすぎかな…。
もしかして、急激に勉強し始めたから…!?
…今まで勉強に慣れてないからなぁ。
仕方ないか。
「よいしょ」
小さい声でそう呟き立ち上がると、信じられない光景が目に飛び込んでくる。
「………ひな…?…なんで…」
驚きの声色でそう尋ねてきた男の人…。
「え…!?」
なんで、はこっちのセリフだよ…!!
どうしてウチに、舜くんがいるの!?
まだ早朝なのに…!!
お互いパニックになり、二人で今の状況の理解に苦しむ。
「やべぇ…。全然何も思い出せない……」
起き上がってあぐらをかき、頭を抱える舜くん。
一方の私は、だんだんと記憶が覚醒し…。
えっと、昨日は確か酔い潰れた舜くんを、悠ちゃんがウチまで送ってきて…。
なんだかよくわからないけど、舜くんを預けられ…。
ほぼ寝てる舜くんと、色んな戦いをして…。
「一緒に寝ちゃったんだ…」
舜くんが引き留めるから、仕方なく、ね。
小さな声で言っただけだったのに、舜くんにはバッチリ聞こえたみたいで…。
「い、一緒に寝た!?!?なにやってんだ……俺…」
舜くんは驚きのあまり、大きな声をあげた。
や、そんなに落ち込まなくても…。
ただ隣…というか近くで寝てただけで、これといった事は微塵もしてないし…。
私も、“この人はお父さんだ”って思って寝たから。
私は黙り込んだ舜くんに、一声かける。
「たまたま近くに寝てただけだよ?それに、彼女さんには言わないから大丈夫」
本当に何もないしね。
ニコッと笑うと舜くんは安心したのか、よろよろとたちあがった。
「手ぇ出してないか。良かった…」
あ、当たり前!!
手なんか意地でも出させません!
…だって、もし私が彼女さんの立場だったら嫌だから…。