よかった、素直に入ってくれて…。
と安堵しつつ、私も篠崎さんの後に続いて家に入り、玄関のカギを閉めた。
…そういえば家の中に男の人を入れるのって、お父さんと悠ちゃん以外初めて…。
まさか一人っきりの家の中に、まだろくに知らない男の人を入れることになるなんて、想像もしてなかった。
篠崎さんがスタスタと歩いていくのに置いて行かれないよう、私も早急に靴を脱いで廊下を歩く。
やっぱり、家庭教師さんとの勉強ってってリビングでやるのが妥当かなぁ…?
で、でもマンガとかだと自分の部屋で教えてもらってるよね?
う~ん…迷うところだなぁ…。
どうしようか迷っていると、“ひな”と書いてあるプレートがかかっている部屋の前で篠崎さんが足を止めた。
「この部屋?それともあっち?」
そして、振り返ってそう聞かれる。
やっぱり、テレビとか無い部屋の方がいいのかなぁ…。
そう思った私は、仕方なくそこにあった自室へのドアを指さした。
…………いいよ、もう。
今は、とりあえずどこかに座ってほしい。


