いつまで経っても子供っぽさが消えない悠ちゃんを呆れ気味で見ていると、あることをひらめいた。




そうだよ、おまもりっ!




「穂見くん、この後時間ある?」




用事がなければ、好きなおまもり選んで欲しい。




幸い、毎年お参りに行く大きな神社は近いところにある。




…私が勝手に選んでもいいんだけど、センスが…。




いらない、なんて言われかねないからできれば一緒に来てほしいな。




「んー…。空いてるけど、なんで?」




少し考えていた穂見くんは、首を傾げた。




そんな穂見くんにこっそり耳打ち。




「おまもり!!受験まで、あとちょっとだし……っ!」




そう言う私は気づいてしまった。




クリスマスとか言って浮かれてる場合じゃない事を。




じゅ、受験まで、あと1ヶ月無い!!!




パフェ食べてる場合じゃ……。




焦り出した私に、穂見くんがクスクス笑う。




「そっか。俺も明日から追い込みだしな…。今日行こうか」




………追い込み。




私も寝ないでやらなきゃ。




…舜くんに彼女がいて、良かったのかも。




“彼女がいる”っていう事実があるだけで、諦めつくから。




「じゃ、俺たち、ちょっと用事があるんで」




穂見くんがそう言って立ち上がるのと同時に、私もカバンの中からお金を出す。




「悠ちゃん、よろしくね。穂見くんのコーヒーもこれで足らしてね??」




…いつもお世話になってるのに、奢ることくらいしかできないけど…。



千円札を悠ちゃんに渡し、穂見くんを出口までぐいぐい押し出した。




穂見くんは、どんなおまもりがいいんだろう?




あ、どうせだったら、私も絵馬でも書こうかな。




…神様に祈るくらいしか、合格の道はないしね。




そんな事を思う自分に苦笑いを浮かべながら、しきりにコーヒー代を返そうとする穂見くんと神社へ向かう私だった。