前を歩いている穂見くんに気付かれないように涙を拭うと、急に立ち止まられた。




もちろん私はそれを知らずに一歩踏み出したため、穂見くんの背中にドンッとぶつかる。




「……ごめんなさい」




いつかもあったな、こんな事。




確か、花火大会で舜くんに…。




今と同じように、思いっきりぶつかっちゃったんだっけ…。




意気消沈しながらも物思いにふけっていると、ハッとして振り返った穂見くんに謝られた。




「いや、俺こそいきなり止まってごめん」




…そんなのいいのに。




ふるふると首を振ると、穂見くんは繋がれていない方の手で頭をかく。




「その………泣いてるかなって思ってさ」




そう言う穂見くんのキレイな瞳には、とても見せられるような顔じゃない私がいて…。




「ふぇっ………うぅっ…」




思わず嗚咽が飛び出した。




…穂見くんには、なんでもお見通しなんだ…。




まるで、本当に舜くんみたい…。




どうして舜くんにこんな感情を抱くようになったんだろう?




あんな手の届かない人に恋なんかして、フラれる前提とか言ってたけど…。




フラれる前提じゃ、恋なんてできないよ。




期待してたんだ、どこかで。