私は舜くんに気付かれないように、黙々とパフェを食べ進める。
やっぱり、彼女いたんだ…。
いや、できたのかもしれない。
一瞬見ただけだけど、キレイで美人さんだったし…。
『キスが恋しい年頃なんだよ』
舜くんと“問題間違えたらキス”というヘンな約束を作ったとき、そう言われたんだ。
…でも、それって別に、私限定なわけじゃない。
むしろ、最近キスの回数が減ったのって、あの人がいるから…?
…それじゃ、私がいままでドキドキしてたのって…。
キスされてたのって…。
「は、春沢さん…!?急にどした…?」
「え………」
穂見くんにそう言われ、自分の視界がゆがんでいるのがわかった。
パフェの容器の前には、大きな水たまり。
私、こんな事で泣くほど、舜くんが好きなの?
右手に持っていたスプーンを、一旦パフェの前に置く。
…だって、わかりきってた事だもん。
舜くんが私を、“恋愛対象”として見てないことくらい。
何度も子ども扱いされてるし…。
「あはは、テスト疲れかも!頑張った分、泣けてきたのかな?」
私は涙をぬぐいながら笑顔を浮かべ、穂見くんにそう言ってまたスプーンを手に取った。