美織ちゃんは、保育士になりたいから保育学科を選んだんだ。
裕貴くんは…どこの学科を受けるかはしらないけど、きっと夢が定まってると思う。
穂見くんは、お医者さんになりたいって理由で医学部なんだろうな。
私はいったい、何を目指して大学に行くんだろう…?
心理に興味があるって言ったって、それを将来どう活用するの?
「私、やっぱり………」
志望大学変えようかな、と穂見くんに相談しようとしたとき、聞き覚えのある声がした。
「篠崎くんってば!」
「うるせぇな。興味ねぇし知らねーよ」
「さ、最低!最悪!顔だけ男!」
バッと振り返ると、そこにはやっぱり……。
「舜くん…………」
私の家庭教師さんがいた。
テスト期間中会ってなかったから、なんだかすごく久しぶりな感じがする。
…なんだかひどい言われようだなぁ。
最低、最悪、顔だけ男、か…。
話しかけたくてしょうがないけど、私は縮こまってパフェを食べ進めた。
…だって舜くんとあの女の人、2人で怒ってるみたい…。
もしかしたら、今ケンカ中ってだけで新しくできた彼女さんかもしれないし…。
今私が出て行ったら、きっとややこしいことになるよね。
幸い、私は入口に背を向けて座ってる。
「もう知らない!」
このまま俯いていれば、舜くんにも、今出て行った女の人にも気づかれずに済むはず。
よし!それでいこう!
それでいい!