…この人なら、僕を変えてくれる気がする。



…そんな気がした。



…なんとなく、だけど。



「カフェ・オレでいいですか?」



「…いいえ、ブラックで。」



…ほんとに珍しい人だな…。



ここに来る人は、カフェ・オレじゃないと飲めない人がほとんどだから。



…カフェ・オレじゃないと飲めない、って言うのもなんだか変だけどね。



…そんな事を、コーヒーを淹れながら思っていた。


出来立てのコーヒーをカウンターに置く。



コトン……。



「…どうぞ。」


「ありがとうございます。…ふふ。この匂いが好きなんです。」


そう言って微笑む彼女。