「未良はさ」

咲良お姉ちゃんがようやく話し出した。


その表情は一緒にいる中で、初めて見たものだった。


「その本多君が好きなんでしょ?」

「うん……」

「……。とりあえず本多君が何をしたかったなんてわからないけど、ちゃんと本多君と話し合わなきゃ」

「話し、……合う?」

私がそう復唱すると、咲良お姉ちゃんは満足そうに微笑んでうなずく。


「訊くけど、それで本多君のこと、嫌いになった?」

すぐに首を横に振った。


「じゃ、勇気を出して。ね? あきらめたくないでしょ?」

「うん」

力強く、真っすぐに咲良お姉ちゃんを見て、首を縦に振る。


「……よし! それでこそ、我が妹! ……ところで。ちゃんと紹介しなよ? 本多君のこと! かわいい妹に釣り合うかどうかを見極めなきゃ」

やけに力が入っている咲良お姉ちゃんがおかしくて、私はやっと悲しみを捨てて、笑えた。