「でも、ここに弓道部はない」

「はい。……隣の進学校は弓道部があります。そこには俺のダチがいますから、土日辺りなら何とかなると思います」

「……ふーん。判った。で? 褒美は?」

「もちろん、未良で。……ちなみに俺が負けたら、先生の言うことを聞きます」

未良と呼んだ瞬間、梶原の片眉が吊り上げた。


「未良って呼んでるんだ? 菅原さんのこと」

「はい。菅原さんの了承は得てますから」

「……」

梶原はいきなり、目を閉じた。

まるで何かを考え事をしているみたいだ。


 ……しばらくすると、梶原は考えがまとまったのか目を開ける。


俺はその途端、梶原の雰囲気がさっきまでと違った気がした。