「……未良に、初めてをたくさん教えてやるよ。だから、泣くな。な?」

本多君は私を強引に腕の中に収めて、優しく抱きしめてくれた。


春の太陽の下にいるように暖かくて、睡魔が襲ってきた。

このまま、時間が止まってしまったらいいのにって、何度もお願いした。


「……」

 ――でもね、時間は止まるわけがない。

時間は確実に進んでるだって。


気づきたくなかった。

この時間が、壊れる日が来るだなんて。