* * *


「……あの、本多君」

「ん?」

自習室を後にして、帰路に着く私たち。

夕陽はもうすぐ、沈もうとしていた。


「本多君って、物理が得意なんですね」

「あぁ。物理って、何か魅力的なんだよな。自然で起きることを法則で使っちゃえば、判っちゃうからさ」

 ……そう話す、本多君の表情はとても明るくて、キラキラと輝いていた。


得意っていうより、好きなんだ……。


「未良は得意とか好きな教科、ねぇの?」

「え? な、ないです……」

「そっか……。1つでもそういうのがあると、もっと楽しいからさ。見つけてみろよ? 絶対、あるって。俺が保証する」

そう言った後に、本多君は私の手を握ってきた。


いきなりで戸惑って、本多君を見上げる。

すると、本多君は私に向かって、優しくほほえんでくれた。