そんなある日


俺達はいつものようにふたりでいるときだった。





「お願いだ!助けてくれ!………この子を助けてくれ!」


突然、街の男が小さな男の子を連れて俺達にすがってきた。


その男の子は酷い怪我だった。


「…助けてくれ!医者が今隣街に行っていて居ないんだ!これじゃ間に合わない…!」


こんな酷い怪我を治したらハインの命が危ない。



「……っ…ふざけんなっ…!そんな酷い怪我を治したらハインの命が危ない!………アンタだって知ってるだろ?かすり傷を治しただけでもすごい熱を出すんだ……。
それに今まで散々俺達を避けてきたくせに、こんな時ばかり助けて貰おうなんて都合が良すぎる!!」


勝手すぎる……
いつも自分たちだけが得する事しか考えない。


「……ッ…悪かった!許してくれ!なんでもする!だから頼む…。」


「……兄さん、医者が戻るまでの応急措置くらいなら大丈夫だよ。さすがに完治させるのは無理だけど医者が戻ってくるまで持たせることはできるよ。」


「……でもこんな怪我、応急措置だけでもきついだろ…。お前にそんな負担掛けさせたくないんだ。」


「……ッ……でも、その子死んじゃうよ…。大丈夫!僕は死なないから!」


ハインは優しすぎる…。
その優しい瞳が俺を見つめる。


「………分かった。でも、医者が戻るまでの応急措置だけだ。その前にハインが危険になりそうならその前に止める。これなら助けてやる。」


「本当かっ!?ありがとう!」


「さぁ、早くその子を!」