つくづく厄介な能力だと小さく舌打ちする。



この能力のせいで俺達は化け物呼ばわり。
でも二人で生きていくには能力が必要だ。



「………ほんと……厄介だな………」

こんな能力なんていらないのに、ただハインと静かに暮らしたいだけなのに、なんで、どうしてとどうしようもないことばかり考えてしまう。

ダメだ、考えても無駄なんだと自分に言い聞かせてまだ怠さの残る身体を動かす。

ハインの為なら自分の命なんていらない。

どんなことでもしてみせる。

だけどそれはハインが望んだときか万が一の時だけだ。無駄死にをして自分の都合だけでハインを“ひとり”にする事だけはしたくない。

ハインに殺されるのなら本望だが、どこの馬の骨ともわからない相手にやっと掴んだ自由を邪魔されるわけにはいかない。

中々目眩が収まらないけれど無理矢理身体を起こし、ハインの看病をする為に移動する。
荒い息遣いが痛々しい。

………俺が代わってやれればな

意味のないことばかり考えてしまうと微笑し、看病に集中することにした。

――どうか、少しでもハインの苦痛が和らぐようにと願いながら。