夜になり、健二は自室でパソコンに向かう。健二はお気に入りのサイトに行く。
 このサイトは巨大掲示板で、いろんな人たちが毎日のように書き込みをしている。
健二は小学生でありながら、この掲示版の常連で、夜になるとひょこりと顔を出す。
「僕ね、おじさんみたいな人って大嫌いなんだ」
「はぁ、なに言ってんだこのクソガキ! 子供の癖に生意気言うな」
「あんたも、僕のお父さんと同じだね。すぐに子供バカにする。どうせ会社じゃ下っ端な癖に、自分より弱い立場の人にしか歯向かえないクズwww」
「うるせぇーだよ、このゆとり! 大人相手にな生意気言うな、そういうセリフは社会に出てから言えガキ!」
「ははは。書き込みがワンパターンだねおぢちゃんwww それしか言えないの? おつむの弱さが丸わかりだよ」
 このふたりのやり取りを、他の者たちは傍観していた。
 誰一人、ふたりの間に割って入ろうとしない。
「どうせ会社じゃ目上の者にはペコペコ頭下げてる癖に、自分より弱い立場の者たちにしかたてつくことが出来ないなんて、カッコいい大人だねwww」
「おめぇーいいかげんしとけや! だったら金かせいでみろ、金を稼ぐということがどんだけ大変なことだか知ってんのかクズ!」
「そんなの知るわけないじゃん。そんなに大人、大人いって威張るなら、僕と勝負しようよ。僕今ね、プログラム製作していて、すでに出来上がった作品があるんだ。それみてよ、ソース晒すから」
 健二は自分自身で作った、フラッシュ動画を掲示板にアップする。
 そして健二は書き込みをする。
「感想どうぞ。どんな異論、反論でもかまいませんよ。ただし感情論はうけつけませーん」
 と、半ば相手をおちょくった書き込みをした。