「転校?」
夕食のタコライスを口に頬張りながら、目の前に座る人物に目を向ける。
「うむ。お前にぴったりの学校を見つけたのでな」
目の前の人物は、大きく頷いた。
頷いた拍子に、黒の髪がさらりと揺れる。
「お父さんとお母さんね、やっぱり貴方には妖怪の学校に行って欲しいのよ。だから、二人で考えて日本の妖怪学校に転校させる事にしたの」
どう?名案でしょう?と言わんばかりに笑う我が母。
我が母ながら笑顔が美しい。
もの凄くキラッキラしておる。
だがしかし、騙されてはならない…我が母は元男じゃ。
ニューハーフというやつじゃな。

あ、自己紹介が遅れたの、わしはイグレシアス・十六夜・キルシェ。
気軽に十六夜(いざよい)と呼んでくれ。

東洋妖怪と西洋妖怪のハーフじゃ。
なに、冗談などではないわい。マジで東洋妖怪と西洋妖怪とのハーフなんじゃよ。
我が母は、ヨーロッパ妖怪のサタン。
我が父は日本妖怪の酒呑童子。
サタンが妖怪に入るかは分からんがの。

妖怪だからかどうかは分からんが、わしの両親は超がつくほどの美形じゃ。
美青年も美女も腰抜かすぐらい。