君の檻から出されたなら。



「人には必ず、運命の相手がいるのよ」


そう話す紫羽の表情は心から幸せそうだ。


「………」


「運命の相手に出会い、その人は"愛"を知るの。」




守りたい。




彼女の愛は受け止めきれないと言いながら、彼女の笑顔を自分が守りたいと感じる俺はひどく矛盾している。



「深く…、心から人を
愛おしいと思う感情よ」


紫羽は目を細めながら、
細長く綺麗な指で俺の頬を撫でた。




「愛することを知った人は
とても心優しく、美しくなるんですって」



そのまま2人の距離が近づく。




「……紫羽はもう、充分美しく優しいじゃないか」


そう言った俺の唇に紫羽のそれが重なり、


「あなたを見つけたからよ…刹(セツ)」


そう囁いてまた、俺の唇を塞いだ。