君の檻から出されたなら。




「こんなにも大切にあなたを想っているのに、伝わらない?」


そう言って、縁側にいる俺に体を向ける紫羽。



「…………」


彼女からの愛情は痛いほどに伝わっている。

こんなに美しく、こんなに尽くし続けてくれる彼女に想われて、俺は誰より幸せ者かもしれない。




……ただ、


「素敵なお話をしましょうか」



俺には受け止めきれないんだ。
紫羽の大きすぎる愛を。




「…素敵な話?」


聞き返す俺の横に腰を下ろして、
彼女は今までで1番じゃないかというくらい、柔らかく微笑んだ。



「えぇ。……運命の人の話よ」


「…運命……」