彼女は俺に、なにもかも与えてくれた。
俺の身の回りのこと全て彼女がしてくれて。
どんなことも上品にこなす彼女に、育ちのよさを感じることは多々。
そのおかげで、
以前がどうだったかは知らないが
俺もなにかと、品のある生活を送っている。
不自由なんてひとつもなかった。
…………ただ、
どうしても。
外に出ることはできない。
この家に来てもう1年以上たつ。
俺は拾われたあの日から
1度も外に出たことはない。
初めは、閉じ込められているとは考えもせず
自分から外に出たいとは全く思わなかったおかげで、なんの問題もなかった。
…しかし。
一度だけ、
空の広がる所に行きたくなり
家を出ようとしたことがある。

