君の檻から出されたなら。




驚いた様子で立ち上がった彼女は
そのまま動かなかった。



「―…紫羽「「どうして帰ってきたの?」


俺の呼び掛けを遮るように
真っ直ぐに俺に尋ねた。



……薄暗いこの部屋では
紫羽の表情は分からない。



「…………」


自分が帰ってくることは
望まれていなかったのだろうか。



そんな考えが頭を過ぎったが、
俺は少しずつ紫羽に歩み寄る。



「…あなたが帰る場所はここじゃないわ」



だんだん近づく俺に
紫羽は少しだけ後ずさる。



「紫羽…」





――…あぁ、やっと顔が見えた。