君の檻から出されたなら。




――――――……



記憶を失った俺を拾ったのが
彼女、紫羽(シウ)だった。




白いワンピースに身を包み、細長くしなやかな手足を動かして俺に近づいてきた彼女は

街中では明らかに浮いていて。
何より目立ちすぎていた。




俺と変わらないくらいの歳の彼女は

少し寂しく、でも和やかなこの家に
ずっと一人で住んでいたらしい。



なぜ、ずっと一人なのかも。

どうして、俺を拾ったのかも。



彼女のことは何も分からないけど

何もかもが分からず、おかしくなりそうだった俺には。



俺を抱きしめた白く美しい彼女が、
俺を守ると言った紫羽が、


天使のように見えたんだ。