君の檻から出されたなら。




俺が走り出したのは
すっかり辺りが暗くなった頃だった。




……君が足りないんだ。






―――――――……

―――――――



「………ハァ…ハァ…ッ…」




見慣れた古風な家。


外からこんなにじっくり見るのは
初めてかもしれない。


小さくて寂しいその家は

紫羽がいると思うだけで愛おしい。





――――…カチャ