君の檻から出されたなら。



―――――……


まだ肌寒い中、
堤防のようなその場所でずいぶん長い時間

ただ空を見上げていた。





だんだん人通りが増え。



「………」



あらゆる人達とすれ違って行く。

まるで自分だけ時間が止まっているような。




ドンッ――…

     バサッ



「あっ…、すみません」



不意に、肩をぶつけた人から落ちた物に
俺の意識は持っていかれた。



「……いえ
こちらこそ、…ぼーっとしていて」


コンクリートに落ちた1冊の本を手にとり、その人に渡す。



「…………」




紫羽は、もう目を覚ましただろうか。