君の檻から出されたなら。




―――――――……



「運命だと思ったの。」


紫羽は不意に喋り出した。


「貴方を、刹を見つけたとき。

…やっと出会えたんだと
私は一瞬で思い込んだの。」


「………」


俺は、珍しく自分から喋りだした彼女を黙って見つめた。



「世界中でたった一人…ただ一人だけ、心から私を愛し、私からの愛を全身で受けとめてくれる人」


「ずっと待ち続けて…ずっと求めていた
私が愛しても許されるその人…」


そこで、紫羽は俺を見た。




「そんな人が…本当にいると思う?」


彼女はどこか自嘲気味に、
俺にそう尋ねた。


「………」

俺はどう答えるべきか分からず、



「……分からないな」


結局、そう言うほかなかったんだ。