君の檻から出されたなら。



…―――――

――――――…………




「………」


目を覚ませば俺には布を掛けられていて、横には柔らかな香りの紫羽がまだ眠っていた。




……これは初めてだ。


情事があった翌日でも、いつも必ず俺が目を覚ます頃には朝食が出来上がっているというのに。



「……やり過ぎたか…」


俺は苦笑いで彼女の髪を掬い上げた。



「…自覚はあるのね」


瞳を閉じたままの彼女から聞こえた声。


「おはよう紫羽」

すると彼女はゆっくりと目を開けて俺を見る。




「お早う…刹
……こんな朝も素敵ね」


紫羽は本当に綺麗に微笑んだ。


その少し切なげな笑顔は
俺の胸を締め付ける。