学園奉仕活動

「うぉっ・・・・・!」

小石がっ・・・・・


何時もなら気にならねえ小石がぁあああっ!!


と、思った時には既に遅く

「うぶぁっ!!」


躓いた俺は、うつ伏せに倒れた。


もう・・・・・無理だ・・・・・


起き上がろうにも、足の感覚がねぇ・・・・・・・


ここで死ぬのが、俺の最期か・・・・・・・・


こんな、クラスメイトのどの位置に居るんだか分からねえ程、だだっ広い庭の一部になるのか・・・・・・・



「く、くそっ・・・・・・・」


デカイ物体が近付いて来るのが、ノシノシと芝を踏む音と荒い息づかいで分かる・・・・・・。


「んふんふんふんふっ・・・・・」


あっ・・・・・・


今、足すっげえ嗅がれてる・・・・・・


「んふんふんふんふんふっ」


うおぉおおおお!


耳っ、みみーーっ!!


こぉえええええっ!!


じいじ助けてーー!!!!


「・・・・・・・??。んふんふんふんふっ・・・・」


「くっ・・・・・・・・・」


くすぐったい・・・・・・・・


でも、今動いてしまえば、ガブリとやられるかもしれんっ・・・・・・・・・


堪えろっ!


堪えるんだ、俺!!


「やぁー無理っ!!痒いっ!なんか痒い!!」


自分への応援虚しく、左耳に細い毛先があたる感覚に数分も堪えられず、身をよじり左耳を擦りまくってしまい


「にゃぉ〜〜ん♪」


先程嫌というほど追い掛けてきた、白くて巨大な生き物の顔が視界いっぱいに広がる。


「あ・・・・・・あああ・・・・・・」

ご、5秒でチビる・・・・・・


い、いや、後、2秒でチビる・・・・・・


まともに声が出せず、固まるしかなくなってしまった。




すると


「もういいよ〜チビタン。お漏らしされたら大変だからね〜」


と、巨大な生き物の背後から、シアさんがそう呼び掛けてくれて―――まあ、お漏らしは少し心外だったが・・・・―――巨大な生き物は身体の向きを変えると直ぐ様、お次はシアさんの元へと嬉しそうに走り出していく。



「ネーミングおかしいだろ・・・・・・どこら辺が“チビ“タンなんだよ・・・・・・」


俺は、跳ねるように走っていくチビタンの後ろ姿に目をやり、安堵と共にそう呟くしかなかった。



まあ、本当、死ななくてよかったがな。


「ふぅ〜やれやれ・・・・・・・。って!忘れてた!!アリスのっ―――」


起き上がり、ここへ来た一番の目的を言いかけた、そんな時だった。


「ほぉ。やはり忘れてたのか」


何処から現れたのか、アリスは向かい合うように立ち、鋭い視線で俺を真っ直ぐに見ていた。


「ち、違うぞっ!!俺だって、トイレ借りただけで、こんなにも目的忘れる程に色々あるとは思わなかったんだからな!」


全ての元凶はきっと鈴さんだ!


でも、可愛いから許す!!


「色々・・・・・か。要は、謝りに来て、姉さんと遊んでいたから謝るのを忘れた・・・・・と」


「ち、ちげえよっ!!逆に遊ばれてたんだよ!!鈴さんの代わりに案内するとか言って、会わされたの巨大生物だぞっ!?」


気を取り戻してから案内されたのは、離れにあるチビタンの家だった。


しかもアリスだと嘘をつかれていたのと、見た目普通の一軒家だったので、まんまと騙されたのだ。


インターフォンを押すと、中から飛び出してきたのが白い巨大生物で、口から心臓が出るんじゃないか?というくらい驚いた俺は泣きそうになりながら逃走し、この場で力尽きた訳だ。



「くっ・・・ぷっくくっ・・・・・。い、いや、でも見た感じ楽しそうにしていたではないか」


「いや、笑ってんじゃん!「ぷっくくっ」てんじゃん!てか何で重箱の隅つつく様に攻めるのさ!!」


やっぱり姉妹なんだなコイツら


Sな笑いが好きなんだ!


ツボが同じなんだなっ!!


「笑ってなどいないし、粗探しする気もない。だが、単純に貴様という人間に腹が立つんだ」




「えっ・・・・・。い、いや、それはもはや、仲直り云々より、生理的に受け付けない部類じゃないのか・・・・・・?」


単純に貴様という人間に腹が立つとか、生まれて初めて言われたが、それは物凄いことだということは分かる。


今回の件云々の話ではなく、俺という人間が視界に入れば単純に腹が立つ、と、そういう星に生まれたぐらいの、どうすることも出来ない次元の話だ。



「うむ。そう言われればそうかもしれんが、少し違う」


「どう・・・・・違うんだ?」


なんか聞くの末恐ろしいぞくそっ・・・・・・。


「避けたいと言うよりは、ぶん殴りたい」


「えっ・・・・・・?なに?意味わかんない。なに?」


避けたいじゃなくてぶん殴りたい・・・・・?


受け付けないから避けたいじゃなくて、殴りたくなるって事か・・・・・・?


いやいやいやいや!


「それはてめえが強いタイプってだけだろう!!出会い頭にいちいちぶん殴られてたまるか!避けろ!俺を避けろ!!」


What!?バカじゃねえのこの女っ!?


歩くサンドバッグじゃねえんだぞ!!


俺は(心の中で)アリスへ中指を立てまくってやった。

だが、


「嫌だ」


の一言で片付けられてしまう。


「嫌だって・・・・・俺も嫌だよ・・・・・・。てか、他に何も言えないじゃないか・・・・・・・・」


項垂れる他ないとはこういうことか・・・・・・



何しに来たんだろ、俺・・・・・・・・。