学園奉仕活動

「リレーでは遅いが、自主的に走ると、わりと高タイムなのさっ」


目的地への最後の階段を駆け上がりながら、少し遅れて上がってきているゴリラへ顔を向けると


「確かに、リレーでは最下位やもんな」


ゴリラは既に走るのを止め、ゆっくりと階段を上がりながら言葉を返していた


いつでも危機感の無いやっちゃで、ほんまに。


「よし、入るか」


「入るってか、出るやな」

そう、私達は最上階にある扉を開け、屋上と言う名の楽園へと出る。


「いえぇーーい!ヘブン!ヘ――――ぶううーーっ!!?」


「な、なに?どうっ――――おおうっ!」


俺とゴリラは、屋上に出るなり驚きと恐怖に固まった。


「な、何故、お前が・・・・・・・」


屋上の中央付近で腕組をして立ち、俺とゴリラを見据えている、楽園には居る筈の無い女子に恐る恐る声を掛けた。


「クラスの皆が、貴様に注目した時に抜け出したんだ」

女子は表情一つ変えず、射ぬく様な視線を向けたまま言う。