「勝手に決めるなっていつも言ってるだろ?」

「だってそれが私と美月の夢なのよ!」

「だーかーら、それが勝手だって言っているだろ!僕は絶対母さん達の思い通りにはならないからな!」


美月というのは、観奈の母親の名前だ。
母さんは異常というくらい美月さんとは仲がいい。

お互いが親戚に何がなんでもなる。
そんな執念を僕は日々逃げていた記憶が蘇るな。

「あーん。ひどいわ彼方。いつからそんなこと言う子になっちゃったのよー。あんなに母さんのいうことを聞くイイコだったのに…。」


僕はそんな母さんにこんなときだけ母親面するな!って叫びたい気持ちもあるが、呆れて言葉にもできなかった。


その時。


「へー。お客さん、彼方の母さんだったんだー。」


僕の背後からニヤついた翔が割り込むように姿を現した。