僕は正直初めてのことに少し困惑していると、


「いいなぁ~。彼方、バイトの後はおねぇ様とデートですかぁ。」


僕は聞こえてきたその声の主を横目で睨んだ。


「羨ましいなー!俺もデートしたぁい☆」

それは勿論、今宵新人アルバイト生となった翔だ。
てか周りにわざと聞こえるようなそんなはっきりした声で言うなよ!


「そんなに羨ましいなら変わってあげようか?」

「いやいやいや!そんな滅相もありません。ご指名はあなた様でしょう!」


何?その口調は。


「それに俺はお姉様よりお兄様が好きだもーん。それも美形の☆」

「は?」


こいつ、何を言ってるんだ?
ゲームの男キャラも『俺の嫁』っていってたし。もしかしてホモか?


「ま~そんなんだからさぁ。彼方君、このお姉さまとがんばってきて~。」


翔に肩をポンッと叩かれて僕はさらにイラッとした。
それにがんばるって何をがんばるんだよ!?


だけど僕はその苛立ちを抑え、翔に『さっさと働け!』と話を無理やり打ち切った。


まぁ、そんな翔はともかく。
若菜さんとデートって…僕、デートなんてしたことないけど。

どうしようか…。

…うーん。何も思いつかない。

はぁ…。
だめだ、これ以上考えるのはよそう。