コンコン。 「雅樹君、入るよ」 「あ、はい」 結局、先生が部屋にやってきたのは十一時半を少し過ぎたころだった。 「先生、珍しく遅かった……あ、どうも」 てっきり先生だけかと思ったら、もう一人……先生の後ろに、スラリと背の高い男の人が入ってきていた。 「君が、雅樹君かい?」 低くて、よく通る声。 どこかで聞いた声のような気がした。